ヨガの「猫のポーズ・牛のポーズ」は、床の上で四つん這いになって、背中を丸める・反らすを繰り返すポーズです。 猫のポーズで背中を丸め、牛のポーズで背中を反らせます。「キャット&カウ」ともいいます。 とても簡単です。背骨一つ一つを動かすイメージで行うのがポイントです。


由来と名称

猫のポーズと牛のポーズは、ヨガの古典の文献には記されていないといいます。後の世代のヨガ指導者たちが新たにつくったと考えられています。現代では本場インドでも一般に幅広く行われているポーズです。

<呼称>
サンスクリット語 【猫のポーズ】
マールジャーラ・アーサナ、
マルジャリアーサナ

【牛のポーズ】
ヴィダラーサナ、
ビティラーサナ
日本語 猫のポーズ、牛のポーズ
キャット・アンド・カウのポーズ
英語 Cat Cow Pose

動画

コツ

呼吸に合わせる

猫と牛のポーズでの最大のポイントは、背骨の動きを呼吸に合わせることです。 息を吐きながら体を丸めて猫のポーズをとります。 息を吸いながら体を反らせて牛のポーズをとります。 「吐く」「吸う」という呼吸がもたらす体のリズムと動きを合致させることで、より高い効果が期待できます。

背骨を一つ一つ動かす

猫と牛のポーズは、背骨一つ一つを動かすイメージで行いましょう。 首から背骨、骨盤、尾てい骨までのラインの緊張を取り除くように、ゆっくりとしなやかに動かします。 私たちの背骨は24個の骨で構成されています。 これらを1本ずつ丁寧に稼働させる感覚を目覚めさせることで、背骨周りのコリがほぐれます。また、しなやかで美しい動作ができるようになります。

腹部を引っ込める

四つん這いの状態になると、重力によってお腹の脂肪や内臓が垂れ下がります。この流れに逆らってお腹をしっかりと引き上げることで、お腹まわりの引き締めにつながります。

効果

猫のポーズ・牛のポーズには、様々な効果があると言われています。 とりわけ、硬くなっている心身をほぐすのに役立つと考えられています。ヨガでは体の動きが重く、鈍くなることを「カファ(カパ)の過剰」と表現しますが、この状態を解消します。体だけでなく、心も柔軟になります。

腰痛や肩こり

ふだん反り腰になっている人は、腰を丸めにくくなる傾向があります。猫のポーズをすることで、腰を全体的に丸めることができるようになり、腰痛の改善につながります。

猫背を「伸びる背骨」に変える

一方、丸腰や猫背気味の人は、体を腰を反らすことが苦手になっている場合が多いです。これによって背骨が縮こまり、腰や背中に負担をもたらします。牛のポーズを行うことで、背骨がしっかりと伸びるようになり、健康的な姿勢になります。肩こりの防止にも役立ちます。

血行の改善

猫のポーズでは、背面を全体的に伸ばします。背骨周辺の筋肉のコリがほぐれ、血行不良が改善されます。

大きく動く骨盤に

背骨とともに骨盤を大きく動かします。背骨や股関節と連動して骨盤が滑らかにかつ大きく動くようになります。骨盤の歪みが解消され、ボディバランスが整います。

やり方

猫と牛のポーズの基本的な流れを説明します。

(1)よつんばいのセット

マットの上で四つ這いになる。

股関節の下にひざがあり、肩の下に手がある位置にする。

骨盤から頭頂部までが真っ直ぐになるようにする。

頭が下に落ちやすいのでアゴを引く。

目線は手と手の間に。

(2)猫のポーズ:背中を丸める

息を吐きながら身体を丸める。

お腹を引き上げ、おへそと鎖骨を天井へと持ち上げる。尾てい骨を前方にたくしこむイメージを持つ。

肩甲骨は両サイドに広げるような感覚で。

両手で床をしっかり押す。

目線はおへそのほうに向ける。

(3)牛のポーズ:背中を反らせる

息を吸いながら身体を反らせる。肩を下げて、背骨から頭上の方向に伸びていくような感覚を持つ。のどぼとけまで伸ばす。

顎が上がりすぎないように注意する。

目線は天井に。

(4)チャイルドのポーズでお休み

注意点

膝を痛めてる人は、下にクッションを置いて保護しましょう。 手首を痛めてる人は、手に負担がかからないように気を付けましょう。

参考文献

「ヨガのポーズの意味と理論がわかる本」