「ヨガは瞑想に始まり瞑想に終わる」といわれているように、瞑想はヨガの基本であり、最終形です。なぜ、瞑想はそれほど大事なのでしょうか。
心をからっぽに
ヨガの古典「ヨガ・スートラ」には、「ヨガとは、心の働きを止め滅ぼすこと」と書かれています。つまり、心をからっぽにすること、あるいは心の働きをなくしてしまうことが、ヨガの本質だということです。 さまざまなポーズや呼吸も、そのためのプロセスになります。
心身一体
ヨガの到達地点とされる「心身一体」(一如)の状態も、瞑想なくしては実現できません。心身一体とは体をととのえる(調身)、呼吸をととのえる(調息)、心をととのえる(調心)の三つが、一つに調和した状態をさします。心が喜怒哀楽の感情に支配されていると、心身一体は達成できなくなります。
メンタル面の変化
大切なことは、わずかな時間でも瞑想をして、心身一体の状態をつくり出す努力を重ねることです。そうして続けていくうちに、「最近、怒りっぽくなくなった」「イライラしなくなった」というような、メンタル面での変化に気づいてくるでしょう。これは、自分で気づかないうちに、滞在意識面で大きな変化が起こってきた証拠です。
現代と瞑想
現代社会のライフスタイルは、自律神経に対して、常に強い刺激を与えています。この刺激が、ストレスとなり多くの病気や不調の原因になると言われています。 そこで、瞑想を通して自律神経をリラックスさせて、体の全機能を休息させることがたいへん有効になります。 現代人にとって、瞑想は体と心のやすらぎ、安息を得るためのヒーリング行為だといえます。
科学的根拠
アメリカのミシガン医科大学とカリフォルニア大学の共同研究結果によれば、瞑想しているときの休息には、睡眠時の3倍の休息能力がるといいます。このやすらぎが、人体に良い影響を与えるとされます。 瞑想ブームの発端ともなったこの研究レポートでは「現代のストレス過剰の時代のなかでは、人体組織を休息させることが、医療につながっていく」と指摘しています。
身体の変化
実際、瞑想をすると、身体のあちこちに変化が起こってきます。体がゆらゆらと揺れているな感覚になることもあります。色や音に対して、敏感になることもあります。レッスンを積んでいくと、1時間でも2時間でも内なる自分との対話を永遠に続けることができるような状態になります。
瞑想の姿勢
ヨガで瞑想する時の姿勢は、主に4つあります。
(1)あぐら
最も簡単な瞑想の姿勢でしょう。現在、ジムのヨガのレッスンでは、最初にあぐらで座りながら目を閉じて、少し瞑想することが多いです。
(2)正座
背筋をできるだけきちんと伸ばすことがポイントになります。ひざなどが痛くならないように注意しましょう。
(3)寝ながら
「シャバ・アサナ」(死体のボーズ、しかばねのポーズ)と呼ばれています。あおむけに寝て目を閉じて、全身の力を抜きます。ジムなどのヨガのクラスでは、たいてい最後のほうに行います。これも、瞑想の一種です。一見簡単に見えますが、自律神経を完全に休息させるという大切な目的があります。
(4)蓮華座(れんげざ)
あぐらと似ていますが、両足の先をももの上に乗せるため、柔軟性が必要となります。本格的な瞑想のポーズです。