ヨガの調気法には、たくさんの種類があります。このうち、一般的なヨガ教室やレッスンで行われることがある特徴的な手法を紹介します。
スーリャ・ベーダナ調気法
スーリャは「太陽」、べーダナは「貫く」ことを意味します。すなわちスーリャ・ベーダナとは、「太陽の気を通す」ための調気法です。別名「片鼻呼吸法」とも呼ばれています。
ヨガの考え方では、人体には7万2000円本のナーディー(気道)があり、その中をプラーナ(気のエネルギー)の流れているとされています。その中で、ナーディーのうち、「スシュムナー管」「ピンガラー管」「イダー管」を三大気道と呼び、中心的な存在になります。
三大気道
スシュムナー管は、体の中央を貫いています。これを囲むように二本の気道が流れており、右の鼻孔に開口しているのがピンガラー管(太陽の道)、左の鼻孔につながっているのがイダー管(月の道)です。
この調気法では、ピンガラーのある右の鼻から息を入れ保息し、イダーのある左の鼻から吐きます。一方通行の呼吸法です。頭の中をクリヤにして体質を改善。自律神経のバランスを整えることができるとされます。
ウジャーイ調気法
ウジャーイは、ノドから小さい音を出しながら息をするユニークな調気法です。吸息、保息、吐息の三つの過程をとり、ノドの引きしめ(ジャーランダラ・バンダ)と、肛門の引きしめ(ムーラ・バンダ)も加わります。
ノドで音をたてる
口を閉じ、両方の鼻孔から気をゆっくりとのみこみ、ノドから心臓に至るまでの気道にふれて、音をたてます。それからクンバカ(保息)した後、イダー気道(左の鼻孔)からイキを吐くとされています。立ちながらでも行なうことができます。
ウジャーイは「勝利」を意味します。この調気法を実践すると、体内の火(消化力)を増強し、気道、体液、腹部などの体質を改善する効果が期待できると言われています。
シート・カーリ調気法
シート・カーリは、吸息のとき、「シー」という息をすする音をたてる調気法です。体を冷やす作用があるので、暑いときや熱のあるときにオススメだとされます。
両唇の間に舌をあてて、シーという音をたててイキを吸い、イキを吐くときに鼻を使います。この調気法を行うことで、美容面で効果が期待できるといいます。
シータリー調気法
シータリーは「熱をさます」を意味します。その名のとおり、高熱や炎症に対処することを目的とした調気法です。熱中症になりやすい夏にもオススメの呼吸法だとされます。
下を丸めながら
舌を少しだけ口から出して、舌をストローみたいに丸めます。そこから息を吸ったあと、口を閉じて保息します。その後、両鼻から心静かに吐息します。
ヨガの古典書によると、シータリー調気法は「ひ臓肥大等の疾患、熱病、胆汁異変、渇、毒の害をとりのぞく」とされています。消化不良の対策にも良いと言われています。
バストリカー調気法
力をこめて素早い呼吸を繰り返す調気法です。
送風機のように
バストリカーとは、かじ屋の使う皮革製の「ふいご」(送風機)を意味します。この調気法を行なうとき「ふいご」のような音が出るので、このように名づけられたそうです。別名「火の呼吸法」と呼ばれています。潜在エネルギーを目覚めさせる効果があるとされます。