前屈はもっとも一般的なストレッチの一つです。ヨガにおいても前屈しながら行うポーズが実にたくさんあります。 「ダウンドッグ」(下向きの犬のポーズ)、「ウッタナーサナ」(立位前屈)、「チャイルド・ポーズ」などが有名です。 基本的には、頭が体の前にいくのは前屈系のポーズとしてとらえることができます。
コツをふまえる
「前屈が苦手」という人も多いですが、いくつかのコツをふまえるだけで、曲がり方が大きく変わってきます。前屈が上手になれば、ヨガの一つ一つの動きがより効果的になります。
前屈の意義
体の背面をのばす
前屈は、体の背面を伸ばす動きです。中でも脚の裏側をよくストレッチできます。とりわけ重要なのが、「ハムストリング」と呼ばれる太ももの裏の筋肉です。
ハムストリング
ハムストリングとは、太ももの裏側にある3つの筋肉の総称です。具体的には「大腿二頭筋(だいたいにとうきん)」「半膜様筋(はんまくようきん)」「半腱様筋(はんけんようきん)」の3つを指します。
骨盤後傾
ハムストリングは骨盤から膝の下の裏側までつながっており、ハムストリングが硬いと骨盤が引っ張られてしまい、骨盤の向きが「後傾」になります。これによって、腰に負担がかかりやすくなり、腰痛の原因になります。
腰痛改善へ
前屈をすることでハムストリングが柔軟になります。腰への負担が減り、腰痛の予防や改善につながります。
血流やリンパの流れを円滑に
また、前屈をすると、上半身・下半身の筋肉が全般的にほぐれます。それによって、全身の血液・リンパの流れがスムーズになり、老廃物の排出が促進されます。
前屈のコツ
全体的なイメージ
前屈をするうえでまず心がけたいのは「背面を伸ばす」とともに「前面を縮める」という意識をしっかりと持つことです。 ストローなどの「ジャバラ」の部分のようなイメージを抱くといいいでしょう。 前を縮めることで、後ろを伸ばす――。それが前屈の大原則になります。
下腹に力
前面においてとくに意識すべきなのは「下腹」です。前屈では、常に下腹に力を入れます。これによって、体の後ろ側の力を思いっきり抜くことができ、ストレッチ(伸長)しやすくなります。
部位別のコツ
前屈には、体の部位ごとにおさえたい大事なポイントがあります。
太もも
体を曲げる前に、太ももの前面にしっかりと力を入れておきます。そうすると、ハムストリングなど脚の裏面が伸びやすくなります。 太ももの前面を引き締めると膝のお皿が少し上にくるような感覚が得られると思いますが、この感覚がとても大切です。
股関節
曲げる時に太ももを、股関節(こかんせつ)の中に入れ込むような感覚を持ちます。脚の上部が胴体の中に入っていくようなイメージです。 下腹の力によって、脚部を胴体の上ほうへと引っ張るのです。 これにより腹部から脚にかけての前面が縮み、背面を伸ばしやすくなります。 また、下腹のぜい肉がリフトアップされ、前屈の邪魔をしなくなります。 股関節からの屈曲がスムーズになります。
上半身の前面
「胸と骨盤の間の距離を縮める」という意識を持ちます。腹筋の力で胸をお腹へと引き込むイメージです。 それによって、上半身の前面を収縮させ、背中をより伸ばし、曲げることができます。