瞑想のステップ

ヨガの瞑想には、「制感(せいかん)」「凝念(ぎょうねん)」「静慮(じょうりょ)」「三昧(さんまい)」という4つの段階があります。これらのステップは、「八支則」と呼ばれるヨガの8つの段階において、後半の部分(5~8の段階)にあたります。(ヨガの八支則についてはこちら→

制感

「制感」というのは、どうしても外側に向いてしまうわたしたちの感覚を、心の内側に向けるトレーニングになります。

『ヨーガ・スートラ』では「制感とは、諸感官が、それぞれの対象と結びつかない結果、まるで心自体の模造品のようになった状態」とされます。つまり、何を見ても感覚がひきずられないということです。

人の感覚は外に向かっています。真の平穏を得るためには、外の対象に結びついてしまう感覚を自分でコントロールしなければなりません。制感によって執着心や欲望が消えたとき、人は外界から自由になり、心が動かされなくなります。外からの刺激に対して一喜一憂しない状態になったとき、はじめて集中にも成功するわけです。

凝念

凝念とは、気持ちを一点に集中することです。『ヨーガ・スートラ』には「凝念とは、心を特定の場所に縛りつけておくことである」とあります。心の一点に集中するためには、まず意識を完全に心の内側に向ける必要があります。

静慮

静慮は、集中を保ちながら精神を解放し、イメージを描いて展開していくことです。『ヨーガ・スートラ』に、「静慮とは、同一の場所を対象とする想念がひと筋に伸びていくことである」とあります。凝念の段階でひたすら一点に集中させた意識を、今度は宇宙にまで拡大させていくのです。

三昧

最後の三昧(サマディ)は、静慮までのステップをふまえて無心の状態になることで、精神が完全に解放された最高の境地に達する段階です。(三昧について詳しくはこちら→

<瞑想のステップ>
段階 サンスクリット語 内容
「制感」
(せいかん)
プラティヤハラ 感情や感覚のコントロール
「凝念」
(ぎょうねん)
ダラーナ 集中と精神統一
「静慮」
(じょうりょ)
ディヤーナ 精神の解放と目覚め
「三昧」
(さんまい)
サマディ 真我の境地

瞑想のやり方

ヨガの瞑想トレーニングは、規則正しく行うことが大切だとされます。日常生活の忙しさや俗的な誘惑がときに障害になることもあるでしょう。しかし、真の心の自由を得られることを願って、定期的に瞑想に励みたいものです。

手順

(1)瞑想のための規則正しい時間を生活に組み込みます。少なくとも朝と夜の2回は瞑想しましょう。瞑想に特に良い時間は、朝日の出る前、昼、夕方、夜中だそうです。

(2)瞑想のために適した場所を選びます。だれにも邪魔されず一人で瞑想できる空間です。瞑想の場所はできるだけいつも同じであるほうが効果的だと言われています。常にそこに聖なる思いで座ることにより、良いバイブレーションの場ができ上がっていきます。ご自分だけのピュアーな瞑想室、または瞑想空間をもつことが理想でしょう。

(3)頭、首、背中をまっすぐに保って座ります。

(4)北か東の方角に向いて座ります。

(5)呼吸は最初は五分間ほど意識して深く、ゆっくりにします。

(6)ご自分に適した集中法で瞑想に入ります。実践を重ねることで、「不二一元」の境地を体得し、やがて三昧の状態に到達することができるとされます。

座り方

瞑想のための座り方には、いくつかあります。比較的楽な座り方として次の4種類があります。

アルダ・パドマ・アーサナ(蓮華座)

日本語で「蓮華座」(れんげざ)といい、最もベーシックなヨガの座法の一つです。「あぐら」を少し難しくしたものと考えていいでしょう。左ひざを曲げてかかとを会陰部(生殖器と肛門の間)にもってきます。右足を左足のつけ根にひきよせて、背筋をまっすぐにして座ります。

スカ・アーサナ(安楽座)

あぐらと同じ座り方です。左ひざを曲げてかかとを会陰部にもってきます。右ひざを曲げて右足を左足の下に差し込みます。

スヴァスティカ・アーサナ(吉祥座)

左ひざを曲げて左足先を右足のつけ根につけます。右ひざを曲げて、右足先を左太ももにはさんで座ります。

シッダ・アーサナ(達人座)

「達人のポーズ」という意味のこの座法は、性的エネルギーをコントロールするための瞑想に適しているとされます。左足のかかとを会陰部にもってきます。その上に右足のかかとをのせて座ります。