瞑想のヨガ
ラージャ・ヨガとは、瞑想による古典的なヨガです。瞑想や呼吸によって精神統一を図り、ひたすら心に働きかけていきます。「心のヨガ」とも呼ばれています。
最も古い流派
ラージャ・ヨガは「最も古いヨガの流派」とも言われています。「王様のヨガ」という意味です。英語では「Raja Yoga」と書きます。
教典は『ヨーガ・スートラ』
ラージャ・ヨガの教典は『ヨーガ・スートラ』です。ヨーガ・スートラは数世紀ごろにつくられたとされます。その柱は「ヨガの八支則」です。 八支則とは、ヨガのトレーニングの8つの段階のことです。ヨガの八支則についてはこちら→をご覧ください
八支則を実践
ラージャ・ヨガは「八支則」を実践するヨガになります。すなわち、最初のステップの禁欲から始まり、姿勢や呼吸を整えながら、瞑想で「集中」を実現していきます。最後は、完全に調和がとれた状態である「三昧(サマーディ) 」にたどりつきます。
ハタヨガとの関係
「心のラージャ」「体のハタ」
ラージャ・ヨガは、ハタ・ヨガと深い関係にあります。
ラージャ・ヨガは心に働きかけ、一方、ハタヨガは主に体に働きかけるものです。
この2つは対立するのでなく、お互いに補完する関係にあると考えられています。
狭義の「ラージャ・ヨガ」
インドを中心にハタヨガが広まっていくにつれて、その実践者の間では、より古くから伝わるラジャーヨガの精神面の働きかけに注目が集まるようになりました。
新しい解釈
こうした中で、ヨガの8支則のうち、前半の4つ(禁戒、勧戒、体位法、呼吸法)をハタ・ヨガとして、後半の4つ(制感、精神集中、瞑想、三昧)をラージャ・ヨガと呼ぶ解釈が広まっていったようです。
この結果、ラージャ・ヨガが成立した当初は8つの段階の全体をすべてラージャ・ヨガと呼んでいたのが、後半だけをラージャとする見方が出てきたのです。そして、次第にこの解釈が優勢になっていったようです。
いずれにせよ、現代においてラージャ・ヨガという言葉には、8段階すべてを指す広義と、後半だけを指す狭義の解釈があります。
ハタヨガの教典に登場
ハタヨガの教典として16世紀に編纂された「ハタ・ヨーガ・プラディピカー」でも、ラージャ・ヨガについて触れられています。
それによれば、ハタ・ヨガはラージャ・ヨガという頂点に達するための一の段階になります。また、ハタ・ヨガを行わないとラージャ・ヨガの修行は完成しません。同時に、ラージャ・ヨガの訓練をしないとハタ・ヨガは完成しません。
解脱には両方が必要
このため、解脱の境地に達するには、ハタとラージャーの両方を実践しなければならない、ということです。
アシュタンガの基盤になる
20世紀に登場した「アシュタンガ・ヨガ」も、ラージャヨガを基盤としています。
そもそもアシュタンガとはサンスクリット語で「8本の枝」という意味であり、ヨガの8支則も「アシュタンガ」と呼ばれていました。
ラージャヨガを基盤にして、これにポーズや動作を組み合わせたのが、アシュタンガヨガになります。
現代に生きるラージャ
インドの著名なヨガ行者パタビジョイス氏が提唱したアシュタンガヨガは、欧米で人気を集め、日本でも様々な形で普及しています。
私たち現代人がスポーツジムなどで行っているヨガにも、「心」を重視するラージャ・ヨガの哲学が息づいているのですね。