ヨガの呼吸法には様々な種類があります。息の長さやスピード、使う器官などによって、数十以上の種類に分けられます。そのうち、代表的なものを紹介します。

完全呼吸

完全呼吸とは、究極の深い落ち着いた呼吸です。 横隔膜や腹筋、胸筋、鎖骨など呼吸にかかわるすべての器官や筋肉、骨が最大の振幅で動いている状態で行われます。
「腹式呼吸」「胸式呼吸」「肩呼吸」「クンバク(息を止める)」を組み合わせ、「丹田」を意識しながら行います。完全呼吸をすることで、プラーナ(気)が隅々まで行きわたり、全身の細胞が活性化するといわれています。

浄化呼吸

浄化呼吸法は、息を完全に吐き出すことを重視した呼吸法です。吐く息とともに、体内の老廃物やネガティブな感情も一緒に排出するイメージで行います。
満員電車のような空気が汚れた場所にいると、肺が汚れ、血液も濁っていきます。浄化呼吸を行うことで、肺の換気と清浄化を促し、血液をきれいにしていきます。同時に体内からネガティブなエネルギーを追い出し、ポジティブなエネルギーで満たしていきます。

肺細胞刺激呼吸

体を動かすことが少なくなった現代人は、生きることにやっと間に合うだけの貧弱な呼吸をすることで精一杯になりがちです。このため、肺臓を構成している多くの細胞が半ば休眠状態になり、肺の機能が低下する傾向があります。
そこで、肺の細胞に外部から刺激を与えて、活性化させるのが、肺細胞刺激呼吸法です。手の指で胸を軽くたたきながら息を吸います。「ゴリラ呼吸法」とも呼ばれています。柔軟性と弾力性に富んだ強靱な呼吸器官を作り上げていきます。

神経活性化呼吸

健康でいるためには、心と体の調和がとても大切です。その鍵をにぎっているのが「神経」。心と体は、神経によってつながっているからです。
神経には、大脳の中枢から身体の末梢へ信号を伝達する「運動神経」、末梢からの情報を中枢へ伝える「知覚神経」、体内の各器官の働きを調整する「自律神経」などがあります。 これらが十分に働いてくれないと、運動したり仕事をするにも差しつかえるし、内臓の働きに支障をきたすことにもなりかねません。
そこで、これらの大切な神経を活性化し、目覚めさせるのが「神経活性化呼吸法」です。拳を握って動かしながら行うアクティブな呼吸法です。

カパラ・バーティ呼吸

カパラは「頭」、バーティは「光り、輝き」を意味します。つまり、カパラ・バーティ呼吸とは「頭を光り輝かせる呼吸法」です。
この呼吸法は、頭蓋骨の中にある空気の通り道をキレイにすることを目的としています。ヨガの経典である『ハタヨガ・プラディーピカー』でも六つの浄化法の一つとされており、「身体の浄化をもたらす秘法」とされます。
ゆっくりと息を吸い込んだあと、鼻から「フン」という音とともに力を込めて一気に強く吐きます。これをリズミカルに繰り返していきます。

スクハ・プールバカ呼吸

スクハとは「楽な」「快適な」、プールバカは「~を主とした」という意味で、スクハ・プールバカ呼吸とは「快適な呼吸法」という意味です。
この呼吸法は、鼻の穴を片方ずつ交互にふさいで、吸息(プーラカ)、保息(クンバカ)、吐息(レーチャカ)の三つの過程を繰り返します。それにより、全身の神経系の機能を覚醒させ、はつらつとした心身をつくりあげていきます。