ヨガの「すきのポーズ(鋤のポーズ)」は、あおむけに寝た状態から足を持ち上げて、頭の後ろのほうの床へと落とすポーズです。いわゆる「逆転ポーズ」のひとつになります。 「逆転」と「前屈」という2つの体勢を組み合わせることによる相乗効果が期待できるのが特徴です。 リラックス効果もあるため、ヨガのクラスの終盤でよく行われます。
上半身を床につけたまま前屈
すきのポーズの魅力は、力を抜いた状態で思いっきり身体の背面を伸ばせるということです。
通常、体を前に曲げる前屈のポーズというのは、足を地面につけて行います。下半身で体を支えながら上半身を曲げていく形です。 のため、ある程度、下半身で踏ん張る力が必要になります。
前屈よりも体が伸びやすい
これに対して、「すきのポーズ」は、上体をべったりと床にあずけた状態で下半身から曲げていきます。 このため、脱力状態で前屈ができ、通常の前屈よりも体を伸ばしやすいです。
シャバーサナの前に
また、背中や肩にも力を入れずに済むため、肩甲骨や背骨まわりのコリもほぐせます。 全身をストレッチしてリラックスできることから、このポーズの後にそのままシャバーサナに入っていくというパターンが多いです。
正式名は「ハラーサナ」
すき(鋤)という農具
すきのポーズはサンスクリット語で「ハラーサナ」(ハラ・アーサナ)と呼ばれます。「ハラ」は「鋤(すき)」という意味です。
鋤というのは昔よく使われていた農具です。現代人にはイメージしにくいですが、スコップのような形をしてます。ポーズをしたときの体の形が鋤に似ていることから、こう名付けられました。英語では「Halasana」と書きます。
動画
やり方
(1)準備:あおむけで寝る
まずは仰向けになり、両足を揃えます。
両手のひらは床の方向へ向け、リラックスしましょう。
(2)足を持ち上げる
両足を伸ばしたまま持ち上げていきます。
両手で背中にあてて、下から支えます。
(3)足を頭の先へ向けておろす
足を頭の向こうまで持ってゆきます。重力にまかせてできる範囲でゆっくりと下ろしていきます。
できる人は、床に足のつま先をつけます。
※つま先が床に着かない場合は膝を曲げます。無理につま先を下ろそうとすると首を痛める恐れがあります。
(4)両手を床の上で組む
安定したら、手を背中から離して床に置いてひじを伸ばします。左右の肩甲骨を離しながら行うと、よりスムーズに手を床に置けるようになります。
(5)キープ
キープします。5呼吸くらいが一つの目安とされます。アシュタンガヨガでは8呼吸くらいが推奨されているようです。
アゴを上げすぎず、引きすぎないように注意します。
余裕があれば、膝をしっかりと一直線になるようグッと伸ばし、腰を天井へと引き上げるようにします。尾骨はカカトの方へ回します。
(6)戻す
組んでいる両手をほどき、手のひらを床に置きます。
息を吸いながら脚を上へあげます。吐きながら背骨の上から順番に床につけていきます(お腹の筋肉で踏ん張りながら)。
最後に足を床につけて、仰向けの状態に戻ります。
効果
すきのポーズでは、「逆転」と「前屈」という2つの体勢を組み合わせることによる相乗効果が期待できます。
コリ解消
肩と首
肩と首、さらに背中全体を伸ばしてくれます。とりわけ、肩甲骨から首の裏をしっかりとストレッチできます。 デスクワークなどで肩甲骨周りが固まってしまっている人におすすめです。肩こり改善にも役立ちます。
下半身ストレッチ
下半身をストレッチさせる効果も高いです。 お尻から太ももの裏、ふくらはぎまでがしっかりとほぐれます。 血流が良くなり、リンパの流れが改善されます。
脳が休まる
カラダを逆転させることのメリットもおおきいです。 脳に新鮮な血液が送りこまれてリフレッシュ。不眠の改善も期待することができます。
自律神経
リラックスしながら背骨を伸ばすことで自律神経を整えてくれます。疲労回復の効果も期待できます。
背中を丸めて前屈する形になるので、お腹の熱が高まり、内臓が活性化しやすくなります。
注意点
すきのポーズは首に負担がかかるため、首の調子が悪い人はやらないほうがいいでしょう。
横を見ない
ポーズの途中で首を動かすと痛める恐れがあります。左右を見たりしないように気を付けましょう。
また、無理に曲げすぎると、肺を圧迫する恐れがあります。