瞑想にはさまざまな方法があります。そのうちの代表的なものをいくつか紹介します。

キャンドル集中法

楽な座法で座ります。背筋を伸ばして目の高さにちょうどキャンドルの炎がくるように、テーブルの上にキャンドルをセットします。

炎を見つめる

目とキャンドルの距離は50センチくらいを目安に、ご自分で集中しやすい位置を選びます。ゆったりと呼吸しながら、キャンドルの炎を静かに見つめます。炎にだけ集中して、心が炎と一体化するようにします。

集中力アップへ

集中したら軽く目を閉じて、ひき続きまぶたの中でキャンドルの炎に集中します。目をつぶっても、キャンドルの炎がはっきり見えていることが大事です。もし見えなくなったら、目を静かに開けてもう一度キャンドルの炎を見て、しっかり像を心に刻めたならまた目を閉じます。練習しているうちに集中力がつき、能力開発にもつながります。

ソーハム瞑想法

呼吸に意識を向ける瞑想法です。ソーハムというサンスクリット語は、ソー(彼)とアハム(私)を結びつけたものです。「彼は私です」という意味になります。この彼とは神(ブラフマン)を指し、また同時に、私以外の彼、彼女、そして宇宙に存在するすべてを指します。

ヨガの結合の本質

ソーハムという言葉をつきつめると「彼(神)は私です。私は神です」ということになります。これは、「ブラフマン(神)はアートマン(自我)」というヨガの結合の本質を表しています。心の中で二つのものが存在しなくなったとき、対立はなくなり心は完全に静かになるということです。

<やり方>

ソーハム瞑想法では、心地良く座り、目を閉じます。「ソー」と心の中で唱えながら息を吸い込みます。宇宙のエネルギーが、体の中に入って来るのを感じます。そして「ハムー」と心の中で唱えながら息を吐きます。ご自身が宇宙に溶けていくような感覚を味わいながら、意識を呼吸に向けてソーハムのマントラを唱え続けます。

ラーム瞑想法

「ラーム」を唱える瞑想法です。ラームとは、真実のエネルギーを具現化している神の名前です。ラーを口を開けて唱え、口を閉じてムを鼻から息を吐きながら唱えます。そのマントラ(呪文)の内に響いていくバイブレーション(振動)に意識を向けます。

宇宙のバイブレーション

宇宙は大きな呼吸をしており、宇宙そのものがバイブレーションだという考えが、この瞑想法のベースにあります。ご自身の中でマントラによって生じたバイブレーションを感じていきます。エネルギーが満ちてきたら、今度は心の中でマントラを唱えます。心の中でのマントラに切りかえると、またいろいろな考えが起きてきます。それにとらわれないことがポイントだとされます。

純粋意識を感じる

ラーム瞑想法を長く実践して心が完全に静かになったとき、内なる音を聞き、本当の自分自身を、魂を、純粋意識を感じることができます。そのとき私たちは静寂を、至福を、自由を、愛を、そして真実を感じることができるとされます。

<やり方>

心地良い座法で座ります。体と心をリラックスし、ゆっくり深く呼吸します。目を閉じます。しばらくは意識して深く呼吸して心を落ちつけ、それから自然呼吸にします。

心には波のように様々な考えが起こってくるかもしれません。心は常に活動し続けるからです。どんな考え、感情、記憶、感覚が押しよせてきても、反応しないことです。ただ流れて行くのに任せます。戦ったり、逆らったり、答えたりしないことです。来ては去って行くのを放っておくのです。心の動きに干渉しないのです。

体の一部に集中する瞑想

ご自身の体の一部に意識を集中させる瞑想法です。

チャクラに集中

ヨガでは体に七つのチャクラ(エネルギーセンター)があるとされています。それはサハスラーラ・チャクラ(頭上)、アジナ・チャクラ(眉間)、ヴィシュダ・チャクラ(のど)、アナハタ・チャクラ(心臓)、マニプラ・チャクラ(へそ)、スワーディシュターナ・チャクラ(性器)、ムーラダーラ・チャクラ(肛門)です。

これらのチャクラのいずれかに心を集中させます。そして、自分が好きなことをイメージし、そのチャクラに重ね合わせます。もしあなたがやさしい月の光が好きであれば、月の白い光を眉間や心臓部に描き出し、心静かにその光に集中します。太陽の光でも良いし、美しい蓮の花やバラの花でも良いのです。

オーム瞑想法

ヨガの真言とされるオーム(AUM)という言葉を唱える瞑想法です。

<やり方>

楽な座法で座り、手はひざにおくか、親指(宇宙・ブラフマンを表す)と人差し指(真我・アートマンを表す)を合わせて印を結びます。背筋は伸ばして目を閉じて、「オーム」と唱えます。ラウンドチャンティング(大きな声で唱える)を10回ほど続けます。

意識はオームの響きに向けます。それからウィスパーチャンティング(ささやくようにオームを唱える)を10回続けます。その繊細な響きに繊細に意識を集中していきます。そしてメンタルチャンティング(心の中でオームを唱える)を瞑想中ずっと続けます。

瞑想の時間は、5分からはじめてだんだん長くしていきます。途中、他の考えに支配されたりしますが、そのことに気づいたらまたオームを心で唱えて、意識をオームに集中します。