私たちの体内の筋肉を覆っている「筋膜(きんまく)」とヨガには深い関係があります。筋膜の構造をふまえたポーズを行うことでヨガの効果が高まると言われています。

筋膜とは

筋膜とは、筋肉などを包む膜です。筋肉のほか、骨、内臓などの様々な組織を覆っています。同時に、お互いの組織を結びつけています。筋肉を靭帯や骨に固定するという役割も果たしています。 成分はコラーゲンなどでできており、85%が水分です。

ソーセージの皮

筋膜は、例えて言うならソーセージの皮です。筋肉はそれ単体では形を保てず、バラバラになってしまいます。その筋肉をカバーして、形を作るのが筋膜です。筋膜の上に脂肪や皮膚がのっかっています。

筋膜は個々の筋肉を包み込むと同時に、体全体に張り巡らされています。いわばウェットスーツのような役割もあります。

筋膜ラインとは

筋肉が動くとき、筋膜が同時に動きます。そして、筋膜によってつながっている関節や骨も同時に動きます。

この動きは、ライン上に連動して起きる場合が多いと考えられています。いくつもの筋肉、筋膜、関節が線状につながり、連動することによって体を正常に動かせます。この線を「筋膜ライン」といいます。専門的には「アナトミー・トレイン」とも呼ばれます。

筋膜リリース

筋膜は運動不足や加齢に伴い、ほつれたり、縮んだり、くっついたりすることがあります。こうした状態を正常に戻すことを「筋膜リリース」といいます。筋膜リリースでは、硬くなった筋膜を柔らかくして、整えていきます。

ヨガ

ヨガを行う際に、筋膜ラインを意識するることで、筋膜を伸ばし、ほつれを整えることができます。つまり、筋膜リリースのような効果が期待できるのです。その結果、関節の可動域が広がり、体が柔らかくなります。

ヨガで意識したい4つの筋膜ライン

ヨガのポーズで意識したい筋膜ラインには、以下の4つの種類があります。

<筋膜ラインの種類>
浅層(せんそう)ライン 体の前面を上からまっすぐ下がっています。
主に速筋で構成されており、防御反応などのときに働きます。
浅層バックライン 体の後ろ側を上から下がっています。
正しい姿勢で歩くときに力を発揮します。
ラテラルライン 体の両サイドを通っています。
左右で2軸あります。
体を折り曲げるときなどに機能します。
スパイラルライン 体をらせん状に囲んでいるラインです。
上から下へ向かい、再び上がってきます。
体のバランスを維持するなどの役割を果たします。

筋膜ヨガ

筋膜を意識したヨガ(通称「筋膜ヨガ」)をするときには、以下の点に気を付けましょう。

  • 7~8割の力で行う。
  • ポーズを20秒くらいキープする。
  • 水分を十分に取る
  • 筋膜は斜めや直角に伸びやすいので、ねじる動きを取り入れて、多角的に刺激を加える。